構築
構築の経緯
軸の決定まで
予選突破に向けて以下の4つの要素を取り入れた構築を作ろうと考えていた。
A.相手に試行回数を与えない攻めを意識した構築
B.技外し等の運負け要素を極力減らす
C.運要素を一方的に相手に押しつけられる
D.初見殺し要素を取り入れる
Aについて
鉄壁などの積み技や壁、デバフで相手を詰ませる動きは相手に試行回数を与えてしまうため急所や追加効果を引いて勝てる試合を落としてしまう可能性がある。
そのため相手に試行回数を与えない攻撃的な構築は運負け要素を減らすことができる。
Bについて
熱風や岩雪崩のような命中不安定技を構築の主軸にすると技外しによる運負けの可能性が必ず付きまとう。
そのため命中安定技を構築の主軸にすることで運負け要素を減らすことができる。
C,Dについて
これらは1日に何戦も対戦をしなければいけない予選でイージーウィンができると1試合にかかる疲労を減らせるためあれば嬉しい要素だと考えている。
Cについてはこれの他に苦手な相手や不利になった盤面を逆転できる可能性を生み出すことも可能である。
これらの要素のほとんどを取り入れられて、物理技が主体であろう環境において追い風でもある雪パを握ることにした。
それぞれの要素について
A→素早さ種族値136のテツノツツミ
B→雪下で必中となる全体技の吹雪
C→10%だが必中の全体技で凍りを狙える
D→構築の組み方やポケモンの型次第
構築完成まで
予選1回目ver. (4/7~4/10)
予選2回目ver. (4/21~4/24)
予選3回目ver. (5/5~5/8)
構築の全体的な流れは
① 構築の軸
② ①が苦手な相手に強い地面枠
③ ②と並べやすい浮いてるポケモン
④ 補完枠
としている。
予選1回目ver
「吹雪と地震で補完しながら戦う」という構築の方向性は間違っていなかったものの「相手に試行回数を与えない攻めを意識した構築」を作っているにもかかわらずユキノオーの持ち物が弱点保険で相手の攻撃を受ける前提になっていたりと構築が煮詰まりきっていないのが明白だった。
予選2回目ver
イダイナキバをクリアチャーム持ちの炎テラスタルディンルー(威嚇無効+鬼火無効)に変更することで先発の耐久力強化により安定感を上げつつ、雪パを使う上で対処が難しいウインディへのメタを貼ることにした。
あと1勝が足らず予選抜けできなったが基本選出の使用感は良かった。
予選3回目ver
役割の薄かったパオジアンを苦手なミラー対策と地面技が無効な鋼タイプ(主にアーマーガア、ミミズズ)への打点として自身が雪パを使う上で相手していて辛かった水テラスタルイーユイ(ハイドロポンプ、吹雪のどちらも半減)を採用することでカバーした。
4つの要素について
A.相手に試行回数を与えない攻めを意識した構築
→・特性が発動したテツノツツミ
・カイリューの追い風展開
・先制技(神速、氷の礫)
など相手の上から攻撃できる要素を多く入れているB.技外し等の運負け要素を極力減らす
→命中不安定技がハイドロポンプのみ
(吹雪は雪下で必中のため含めていない)C.運要素を一方的に相手に押しつけられる
→吹雪による凍りD.初見殺し要素を取り入れる
→ 準速レベルまで素早さに振ったディンルーと追い風展開
使用個体
テツノツツミ(テラスタル:氷)
技:吹雪、フリーズドライ、ハイドロポンプ、守る
持ち物:ブーストエナジー
特性:クォークチャージ
性格:臆病
努力値:H44 B4 C196 D204 S60
HD…臆病ハバタクカミのテラスタル+眼鏡マジカルシャイン(Wダメージ)を確定耐え
S…最速111族抜き(イッカネズミを意識)
ユキノオー(テラスタル:水)
技:吹雪、ギガドレイン、氷の礫、手助け
持ち物:命の珠
特性:雪降らし
性格:控えめ
努力値:H188 B76 C140 D44 S60
H…10n-1(珠ダメージ割合最小)
HB...意地っ張りカイリューの飛行テラバーストを雪下で確定耐え
C…11n(努力値振りの効率化)
HD…臆病ハバタクカミのテラスタル+珠ムーンフォースを確定耐え
S…準速35族抜き(ヘイラッシャを意識)
※素早さの調整について
パオジアンと並べて合体したヘイラッシャを黒い霧→草技で削ることを考えていた名残。
パオジアンが抜けたことで意味をなさなくなっていた。
ディンルー(テラスタル:炎)
技:地震、ヘビーボンバー、地獄突き、守る
持ち物:クリアチャーム
特性:災いの器
性格:意地っ張り
努力値:H20 A252 S236
S…追い風下で最速119族抜き(トドロクツキを意識)
初見殺し枠。
自身以外の特攻を下げる効果はカイリューとの相性は良いが、テツノツツミやユキノオーと並べると自分の首を締めてしまう。
そのためこの構築においては長時間場に居座らせるよりも相手を雑に削ることを求めている。
素早さに振ることで追い風を展開した2ターン目以降に相手を縛りやすくできたり、素の状態でドドゲザンの上を取ったりと活躍していた。
カイリュー(テラスタル:飛行)
技:テラバースト、神速、けたぐり、追い風
持ち物:ラムの実
特性:精神力
性格:意地っ張り
努力値:H228 A252 S28
S...追い風下で最速136族抜き(テツノツツミ、ハバタクカミを意識)
水ケンタロス(テラスタル:炎)
技:インファイト、レイジングブル、アクアジェット、守る
持ち物:ものまねハーブ
特性:威嚇
性格:陽気
努力値:H4 A252 S252
役割:①砂パ対策
②炎、鋼タイプへの打点
イーユイ(テラスタル:水)
技:火炎放射、悪の波動、テラバースト、守る
持ち物:気合いの襷
特性:災いの珠
性格:臆病
努力値:H4 C252 S252
役割:①ミラー対策
②アーマーガア、ミミズズへの打点
選出パターン及び立ち回り
〈 基本選出 〉
先発:
後発:
先発で削りどちらかが倒れたらテツノツツミを出して吹雪を連打していく。
テラスタルは先発のどちらかに使うことが多い。
ディンルーへ鬼火が飛んできそうな場合やハバタクカミ+イーユイの並びに対してはディンルー、それ以外はカイリューをテラスタルさせている。
テツノツツミやユキノオーの吹雪を受けにきた炎、鋼タイプはディンルーの地震
ディンルーの地震を受けにきた草、飛行タイプはテツノツツミやユキノオーの吹雪
このように攻撃における補完が取りやすいためテラスタルで相手の耐性が変化しても戦いやすい。
【 対戦動画 】
〈 その他の選出パターン 〉
あくまで一例であり取り巻き次第では変更。
テツノツツミを守らせてディンルーの地震で削っていく。
ディンルー方向からユキノオーを出して天候を奪いながら吹雪やドロポンを打ってくる択をチラつかせることで眠り粉が飛んでこないことを祈る。
後発:
水ケンタロスの威嚇で相手を弱体化させながら地震や吹雪で相手を削っていく。
カイリューが選出しづらいため場合によっては味方を巻き込んで地震を打つこともある。
vs イッカネズミ+コノヨザル
先発:
後発:
コノヨザルが負けん気の場合はものまねハーブが発動した水ケンタロスを中心に戦い、そうでない場合は水ケンタロスの威嚇を何度も回して他のポケモンの試行回数を稼ぐ。
vsテツノツツミ+ユキノオー
先発:+α
後発:相手に合わせて
イーユイを構築に入れてから予選まで時間がなく、マッチングもほとんどしなかったため明確な選出が決められていない。
その他の予選で使用したポケモンについて
〇相手単体を対象とする強力な地面技を持つ。(味方を巻き込まずに済む。)
〇物理耐久があり、素早さも悪くない。
✕特殊耐久がなく、ブーストエナジー持ちのテツノツツミの凍える風とハバタクカミやイーユイの並びに弱い。
✕浮いてるポケモンに打点が乏しい。(岩雪崩は命中不安であまり採用したくない。)
〇ゴースト+フェアリー技の範囲が優秀で雑に強い。
〇トリックルームを採用することで追い風軸に対して切り返しができる。
✕同速対決があまりに不毛。
〇ヘイラッシャ+シャリタツの合体に対して安定して勝てる。
✕テツノツツミとユキノオーである程度は合体したヘイラッシャ+シャリタツと戦えるためそこまで対策を厚くする必要があるのか。(欠伸型の方が遭遇率が高かった。)
雪パについて考えていたこと
・オーロラベールの有無について
天候が雪の状態限定とはいえ物理、特殊ともに軽減できるのは強力であり、初期段階ではテツノツツミに光の粘土を持たせてオーロラベールを貼ったりもしていた。
しかしテツノツツミの技スペースが足らないこと、そしてユキノオーは遅いためオーロラベールを貼る前に攻撃を受けてしまうことから構築には採用していない。
・テツノツツミのハイドロポンプについて
命中不安定技は技外しによる負けが生じるため極力構築に入れたくはないが、ハイドロポンプがないと先発で倒しきれなかった炎や鋼タイプを削りきれないことが起きる。
先発でこれらの苦手なポケモンを倒すというのが構築のコンセプトであるため打つ機会自体はそれほど髙くなく、不利な盤面を吹雪で凍らせるよりも高い確率で巻き返せる逆転の一手として使うのが最適だと考えている。
戦績
1回目
32戦中 19勝 13敗(勝率:59.3%)
最高レート 1649 最終レート 1603
2回目
45戦中 31勝 14敗(勝率:68.8%)
最高レート 1763 最終レート 1763
3回目
36戦中 22勝 14敗(勝率:61.1%)
最高レート 1695 最終レート 1610
最後に
ここまでご覧いただきありがとうございます。
旧世代までは霰パと呼ばれていた吹雪を主軸とする構築が今作から雪パとして生まれ変わり、仕様が大きく変更となったため手探りで一から構築を考えた数ヶ月でした。
雪パは環境が物理寄りになるほど輝き、たとえ不利な盤面でも勝ち筋を強引に作り出せるためポテンシャルをかなり秘めている並びだと感じています。
今作から生まれ変わったこともあり他の天候パに比べて参考文献が少ないのでこの記事が少しでも今後の雪パの発展に繋がれば幸いです。
最後にちょっとした自分語りになります。
予選1回目では構築の方向性、2回目では基本選出に手応えを感じたため3回目では予選を抜けられるだろうと考えていましたが、環境が大きく変化したのか中々勝ちきることができず今年も予選を突破することができませんでした。
しかし自分が少しずつではあるものの着実に力をつけていることは実感しており、それが結果にも繋がっていると思います。
VGC2022 第1回予選(前回)
最終レート1840
ボーダー 1880(おおよそ)
→45戦消化済み あと2勝が必要だった
VGC2023 第2回予選(今回)
最終レート 1763
ボーダー 1776(自分が知っている限りでは)
→45戦消化済み あと1勝が必要だった※計算はあくまで1敗(-10)→1勝(+10)でレートが+20という大雑把なもの
※去年の構築を記事にしていなかったので証拠として結果の画像を添付してます
来年こそは必ず予選を抜ける!!!