あんメモ

プロデューサー兼ポケモントレーナー

【剣盾冠・セイムビート】Good-Sleep,Baby♡

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〈 目次 〉

 

前置き

この記事は普段シングルバトルをやらないエアプ勢がインターネット大会「セイムビート」に向けて環境の考察と構築完成までの経緯を淡々と書いたものとなります。
多少の誤りには目をつむっていただけると幸いです。

 

 

セイムビートのルールについて

ポケモン、持ち物の重複が可能
・使用可能:ガラル、ヨロイ、カンムリ図鑑のポケモン
※準伝説、禁止伝説、幻、ホウエン御三家アローラ御三家は使用不可

 

 

簡易考察

今回自分が気になったポイントは以下の2点。

①持ち物の重複が可能
ポケモンバトルで重要になる持ち物は構築を作る上で取り合うことがよくある。
特に今作ではメガストーン、Zクリスタルが廃止されたこともあり、持ち物の取り合いが頻発しがちである。
しかしその心配が一切いらなくなるため命の珠×6、気合いの襷×6といった夢のような構築も組むことができる。

〈 影響予想 〉
・気合いの襷+カウンターorミラーコートの増加
・拘りスカーフG(ガラル)ヒヒダルマ、ウオノラゴン、メタモンの増加
・持ち物のほとんどが「珠、襷、拘り系、チョッキ、残飯、輝石」となる
・永続的に襷やスカーフを無力化できるステルスロックねばねばネットの価値が上昇


②準伝説ポケモン使用不可
現在のランクバトルでは種族値が高い準伝説ポケモンがほとんどの構築に入っているが、それら全てがこのルールにおいては使用できない。
そのためエースバーンやミミッキュ、ポリゴン2といった準伝説ポケモンがいる環境でも使用率の高い一般ポケモンが環境の中心となるのは間違いない。

〈 影響予想 〉
・環境全体のパワーダウンにより受け構築が有利になる。


ポケモンの重複可能について
この要素が今回の大会の醍醐味とも思えるかもしれないがそれは甘い罠である。
というのも同じポケモンばかりにすると攻撃範囲や弱点が被ってしまい苦手な相手にはとことん勝てなくなってしまうのでなるべく様々なポケモンを使うのが良い。
(極端な例)
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だからといって必ずしもポケモンを被らせるな!ということではない。
ポケモンバトルをする上で「この技を採用していればな~」と思うことは誰もがあると思うがそういった時のために枠が空いていれば2匹目を構築に入れるのはありかもしれない。
またタイプを変えれるエースバーンや、様々な役割を担えるミミッキュのようなポケモンは多少被っても良いとは思う。それでもせいぜい2匹までだと考えている。

 

これらの考察を踏まえた上で自分が導き出した結論がバタフリー+後攻の尻尾トリックである。

強いポイント1
カプコケコ、カプレヒレがいない
準伝説ポケモンが使用できないため出した際にエレキフィールドミストフィールドを展開される心配がなくなる。
バチンウニやガラルマタドガスがそれらの代わりを担うことができるが単体性能がそれほど高くないため当たる可能性は非常に薄い。

強いポイント2
ラムの実所持率の低下
持ち物の重複が可能という甘い罠により火力、耐久、素早さといった強化に目を向けがちになるため眠り粉の通りが良くなると予想している。

強いポイント3
安定した命中率と全抜き性能を兼ね揃えている
特性の複眼により眠り粉の命中率が97.5%まで跳ね上がるため安定して相手を眠らせることができて、攻守、そして素早さを同時に強化できる積み技を覚えるポケモンは剣盾環境内ではバタフリーしか存在しない。

 

この他にも基本戦術がシンプルでありながら強いこと、また過去作でバタフリーを主軸にした構築を作っていたことから8世代のシングルバトルにあまり触れてなくても構築面、プレイング面、それぞれの経験の差を埋められると思った。

 

 

構築経緯

上記の通り「バタフリー+後攻の尻尾トリック」を主軸として構築を作ることにした。

後攻の尻尾トリック枠
安定してできるのがこの2匹だったので相手の構築に合わせて使い分けることにした。
オーロンゲ
○火力もそれなりにあるので殴ることもできる
○悪戯心により優先度+1でトリックが使える
×悪タイプ、サイコフィールド下ではトリックが使えない

ミミッキュ
○化けの皮により行動保証がある
○呪いで自主退場ができる
×相手に先に動かれるため怯み等の不安要素がある
×特性貫通系には弱い


第2の詰め筋
バタフリーが苦手なナットレイや連続技持ちに対して強く出れる詰めポケモンとしてマジックガードにより宿り木の種や呪いに怯えることなく、瞑想と鉄壁で物理特殊どちらにも対応ができるランクルスを採用した。


DM(ダイマックス)アタッカー
4枠は決まったがこのままではバタフリーの負担があまりに多すぎること、そしてバタフリーはDMに存在しないことから残りの2枠はDM前提のアタッカーを採用してバタフリーの負担を軽減することにした。

DMアタッカーに求めることは以下の通り。

①相手を1匹以上倒せる攻撃性能
②ダイサンダーやダイフェアリーを使わない、誘わない

このことから技範囲が広く、素の状態が炎タイプのためダイフェアリーを打ちづらいエースバーン、そしてエースバーンがどうしても勝てないパッチラゴンに強く、身代わりで粘ってくる相手への対抗策にもなり、ダイサンダーを透かせるマンムーを採用した。

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この並びで回していたところ予想通り眠り粉の通りが良く、イージーウィンを狙いやすかったので構築の軸はこれで間違いないと確信した。
しかし以下のような問題点が存在した。

1.カバルドンが苦しい
欠伸ループでかき回されたり、アッキ持ちだと突破が困難だったりと毎回苦しいゲーム展開をしていた。

2.ミミッキュの選出率がほぼゼロ
どれだけ素早さを早くしようと上からトリックが使えるオーロンゲの方が汎用性があり、ミミッキュを選出することがなかった。

3.ミラーマッチへの回答がない


そこで役割の薄かったミミッキュマンムーをラムの実を持たせることで状態異常に強くなり、連続技を持つカイリューと命の珠を持たせることでカバルドンをダイストリームで確実に倒しつつ、素早さを2倍にして後続にも圧力をかけられるガマゲロゲに変更することでこれらの問題を解決して完成に至る。

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構築

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使用個体

※ H…HP A…攻撃 B…防御 C…特攻 D…特防 S…素早さ

f:id:anpokemas:20210621195041p:plainエースバーン
特性  :リベロ
持ち物 :命の玉
性格補正:S↑ C↓
努力値 :A252 D4 S252
実数値 :155-168-95-×-96-188
技構成 :火炎ボール、思念の頭突き、飛び膝蹴り、飛び跳ねる

〈 ダイアタックとダイジェットの違い 〉
エースバーンの技構成はキョダイカキュウのベースとなる火炎ボール、攻撃力を上げられるダイナックルのベースとなる飛び膝蹴り、ドヒドイデ絡みの構築のサイクルを崩すための思念の頭突きまでは確定。
残りの1枠は素早さ操作技が欲しいと考えており、候補となったのがダイアタックのベースとなるギガインパクト、ダイジェットのベースとなる飛び跳ねるの2つだった。
ダイアタックで素早さを下げることで後続のバタフリーの起点作成もできるが素早さ操作はオーロンゲでも可能である。
そのためダイジェットで自身の素早さを上げて相手の2匹目以降のポケモンに対しても圧力をかけられるようにした。

 

f:id:anpokemas:20210621195402p:plainカイリュー
特性  :マルチスケイル
持ち物 :ラムの実
性格補正:A↑ C↓
努力値 :H68 A204 S236
実数値 :175-198-115-×-120-130
技構成 :ダブルウィング、スケイルショット、馬鹿力、竜の舞
〈調整意図〉
H … 16n-1(砂嵐等のダメージ最小)
S … S+1で準速142族抜き(ドラパルト意識)

〈 精神力とマルチスケイルの違い 〉
精神力は8世代より威嚇を無効化できるようになり、ギャラドスウインディのような威嚇を駆使した物理受けで止まらないのが魅力である。
初手からDMをして圧力をかけるのであればこちらの方が強いと個人的には考えている。
しかしこの構築におけるカイリューの役割は初手DMの他にバタフリーミラーや詰め枠がどちらも刺さらない場合の第3の選択肢でもあることから相手に合わせて臨機応変に立ち回れるマルチスケイルを採用した。

 

f:id:anpokemas:20210621195419p:plainガマゲロゲ
特性  :すいすい
持ち物 :命の珠
性格補正:C↑ A↓
努力値 :H4 C252 S252
実数値 :181-×-95-150-95-126
技構成 :ハイドロポンプ、大地の力、ヘドロウェーブ、凍える風
〈調整意図〉
C … 珠ダイストリームでHD極振りカバルドンを確定1発
       珠ダイストリーム+珠ダイアースで無振りウオノラゴンを確定で倒せる
  珠ダイストリーム+珠ダイアイスでH4振りDMカイリュー(精神力)を確定で倒せる

〈 キングドラとの違い 〉
同じく特性がすいすいのキングドラではなくガマゲロゲを採用した理由は後続のバタフリーの眠り粉を通す上で厄介なダイサンダーやダイフェアリーを誘いにくい点にある。

 

f:id:anpokemas:20210621194613p:plainオーロンゲ
特性  :悪戯心
持ち物 :後攻の尻尾
性格補正:B↑ C↓
努力値 :H244 A4 B164 D84 S12
実数値 :201-141-116-×-106-82
技構成 :ソウルクラッシュ、不意打ち、トリック、挑発
〈調整意図〉
HB … 陽気エースバーンの珠キョダイカキュウ確定耐え
S … S4振り60族抜き(オーロンゲミラー意識)

 

f:id:anpokemas:20210621194559p:plainバタフリー
特性  :複眼
持ち物 :食べ残し
性格補正:S↑ A↓
努力値 :H76 C180 S252
実数値 :145-×-70-133-100-134
技構成 :暴風、眠り粉、身代わり、蝶の舞
〈調整意図〉
H … 16n+1(食べ残し4回分で身代わり1回分のHPを回復)

〈 耐久面でなく火力面に振った理由 〉
眠り粉や身代わりを駆使しながら戦うため相手から直接攻撃を受ける機会が少なく、直接攻撃を受ける可能性が高いのはロックブラストやダブルウィングといった連続技持ち、もしくはドラパルトやシャンデラといった身代わりを貫通してくるすり抜け持ちと対面したときである。
これらのほとんどはバタフリーの弱点を突けるためいくら耐久に振ったとしても元々の種族値が低いバタフリーで耐えるのは難しい。
またたとえ攻撃を耐えれるように調整できたとしても身代わりを多用することからその耐久調整が活きづらい。
そのため火力に振って倒せる範囲を広げた方が良いと考えた。

 

f:id:anpokemas:20210621194821p:plainランクルス
特性  :マジックガード
持ち物 :食べ残し
性格補正:B↑ A↓
努力値 :H252 B204 S52
実数値 :217-×-133-145-105-57
技構成 :アシストパワー、瞑想、鉄壁、自己再生
〈調整意図〉
S … S4振り35族抜き(ドヒドイデ意識)

〈 Sに振った理由 〉
ドヒドイデに黒い霧で全能力リセットされる前にアシストパワーを打てるようにするため。

※アシストパワーで倒せるライン
(仮想的:HD特化ドヒドイデ

B±0 C+2 D+2 → 乱数1発
(割合:96.8~115.9%)

B+4 C+1 D+1 → 確定1発
(割合:103.2~122.3%)

 

 

選出パターン 及び 立ち回り

基本選出
先発:f:id:anpokemas:20210621195041p:plainor f:id:anpokemas:20210621195402p:plainor f:id:anpokemas:20210621195419p:plain
後発:f:id:anpokemas:20210621194613p:plainf:id:anpokemas:20210621194559p:plainorf:id:anpokemas:20210621194821p:plain

約9割近くがこの選出パターン。

大まかな選出基準                                
〈先発〉                                     
基本的には技の通りが良いポケモン                        
なおウオノラゴン、Gヒヒダルマが両方いる場合はガマゲロゲを選出          
                                         
〈尻尾トリック〉                                 
オーロンゲ                                    
                                         
〈詰め〉                                     
バタフリー                                    
→ 眠り粉の通りが良い、連続技持ちがいない                    
ランクルス                                    
→ 上記以外の場合

 
詰め枠の通りがどちらも悪い場合
先発:f:id:anpokemas:20210621195041p:plain or f:id:anpokemas:20210621195419p:plain
後発:f:id:anpokemas:20210621194613p:plainf:id:anpokemas:20210621195402p:plain

 

立ち回り
①初手DMで相手の残数を減らす
②後攻の尻尾トリックで後続の起点を作成
③相手を詰ませる

基本的な試合展開①
基本的な試合展開②
基本的な試合展開③


vs 気合いの襷+カウンター
先発のDMアタッカーが一匹も倒せずに倒されてしまうが、尻尾トリック枠の先制技で仕留めることで残数を同じにする。
オーロンゲが倒される瞬間にトリックを決めることで相手がDMをしていてもバタフリーの眠り粉から積んでいくことで全抜きを狙える。

襷カウンター入り①
襷カウンター入り②


vs 拘りスカーフメタモン
DM技で強化したポケモンをコピーされると不利になりがちだが、トリックで確実に上を取れる状況を作り出すことでバタフリーの起点を作れる。
バタフリーは常に身代わりでコピーされない、交代されてコピーされても身代わりを盾に眠り粉をばらまける状態を作れるように意識して立ち回る。
この際コピーされて連続技を打たれるときついのでなるべくカイリューは選出しないようにする。


vs ウオノラゴン+Gヒヒダルマ入り
先発をエースバーンにするとスカーフウオノラゴン、カイリューだとGヒヒダルマが出てきた場合不利となるためガマゲロゲを先発にする。
たとえ初手でウオノラゴンと対面してもダイストリームで次のターンに上を取れる状況を作り出すことで試合を有利に進められる。

ウオノラゴン+Gヒヒダルマ入り

 

 

結果

〈インターネット大会〉
最高レート 1669
最終レート 1618

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〈参加した仲間大会〉
GameWithセイムビートday1(6/11)
最終レート 1589
戦績    6勝 0敗
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3rdセイムビート練習会(6/17)
最終レート 1516
戦績    3勝 2敗
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反省点

この構築の主な敗因は命中不安の技が多すぎたこととTOD(タイムオーバーデス)であった。

アタッカーのエースバーンやカイリューの攻撃技のほとんどが命中率90%以下であり、どれだけ試合展開を有利に進めたとしても10%の負け筋が残っており、その負け筋を見事に引いて逆転負けということが多々あった。

また基本戦術は一度軌道に乗せればほぼ負けることはないが最終的にはバタフリーランクルスで詰めていくというコンセプト上展開に時間がかかりがちである。
そのため勝てる盤面でありながら時間切れで負けるということもある。
普段やっているダブルバトルではTODがあまり発生しないということもあって時間感覚が皆無であったのも原因の一つであり、経験の差が浮き彫りとなってしまった。

 

 

 

あとがき

ここまで記事をご覧いただきありがとうございました。

今までにトリックやすり替えで脱出ボタン狙いの的を相手に押しつけてきましたが、後攻の尻尾には触れたことがありませんでした。
その原因は8世代より変更となった素早さに関する仕様にありました。
8世代から素早さが変動するたびその都度計算されて即反映されるようになりましたが、後攻の尻尾だけは影響が押しつけた次のターン以降とワンテンポ遅いため2匹を同時に動かすダブルバトルにおいてあまり魅力に感じませんでした。

しかしダブルバトルに比べて相手のダイジェットに対するケアが難しいシングルバトルにおいてはダイジェットの素早さ上昇を無効化して後続に繋げられるという点から評価されており、一度は使ってみたい戦法だったので今回使えたのは非常に良い経験だったと感じています。

またポケモンXDから持ってきた「困難を乗り越えた」バタフリーを使う機会ができたのは嬉しかったです。

 

 

 

(おまけ)
構築名の元ネタ
アイドルマスターミリオンライブ「Good-Sleep,Baby♡」より