〈 目次 〉
構築経緯
基本選出決定まで
冠の雪原が解禁されてから色々と触れた中で一番自分に合っていると感じたのがレジエレキの初手ダイマックス(以降DM)による奇襲だった。
手助けによるサポートを受けたダイサンダーの破壊力は凄まじく、相手のゲームプランを一気に崩すことができる。
ただしこの並びは汎用性が高くて使用率も高いランドロスに対して何もできないためトリックルームで切り返してブリザポスで倒していたが、DMや奇襲の勢いを殺してしまう感じがした。
そこでサマヨールの枠を同じく火力強化ができて、尚且つレジエレキよりも早く狙いの的を相手のランドロスに渡せる悪戯心を持ったエルフーンへと変更することで初手の勢いのまま試合を進めていこうと考えた。
〈 狙いの的 とは 〉
この持ち物を持ったポケモンはタイプ相性による無効タイプが等倍で当たる。
(例)ランドロスにダイサンダーで攻撃する
A.本来の場合
①飛行タイプに電気技は効果抜群(威力2倍)
②地面タイプに電気技は効果がない
→ ダメージなし
B.ランドロスに狙いの的を持たせた場合
①飛行タイプに電気技は効果抜群(威力2倍)
②地面タイプに電気技は効果がない
等倍でダメージを受ける
→ 威力2倍のダメージを与える
なお避雷針などの特性による耐性は無効化できない。
〈 エルフーン の採用理由 〉
①手助けが使える
手助けの他にレジエレキの火力を補助する技として嘘泣きも上げられるがいクリアボディや悪タイプ、サイコフィールド下では効かない、猫騙しで止められる、物理アタッカーには全く恩恵がないため手助けの方が汎用性が高くて使いやすいと考えた。
②追い風が使える
今まではサマヨールがいることでトリックルーム展開の可能性が存在していた。そのため相手は安易に追い風を押しづらくなり、トリックルームもお見合いになりかねないと展開しにくい状態を作れていた。
しかしサマヨールが消えることで相手は追い風が打ちやすくなり、レジエレキが上を取られてしまう状況も生まれるため、こちらも追い風ができると殴り合いに負けにくくなると考えた。
トリックルームには弱くなってしまうが手助け+ダイサンダーでトリックルームを始動するポリゴン2、サマヨール、クレセリアを大抵倒せるので問題ない。
エルフーンと同じく悪戯心持ちで手助けが使えるヤミラミはトリックルーム下でも有効な先送りを覚えるがこの指止まれ等で吸われてしまう、ヤミラミが場にいないといけない、悪タイプやサイコフィールド下では効かないという点からエルフーンの方が扱いやすいと考えた。
裏のスイーパーは確定急所の専用技と先制技を持つ汎用性の高いアタッカーの悪ウーラオスと、悪ウーラオスが苦手なフェアリータイプに強くてライチュウ+ガラルファイヤーといったレジエレキでは突破できない並びにも強く出られるウツロイドに決めた。
補完枠について
基本選出の問題点はフシギバナ+コータスとこの指止まれ+トリックルームの大きく分けて2つである。
そこでダイアースをタイプ一致で打てる地面タイプでありながら炎技を半減、草技を等倍で受けられるガブリアス。猫騙しで怯まずに挑発ができるためトリックルームを阻止しやすく、たとえ阻止できなくても自身の耐久力とバークアウトによるデバフでトリックルームターンを枯らすことができるブラッキーを採用することで対策した。
構築
個体解説
レジエレキ
特性 :トランジスタ
持ち物 :命の玉
性格補正:C↑ A↓
努力値 :H28 B68 C252 S160
実数値 :159-×-79-167-70-240
技構成 :ライジングボルト、エレキネット、破壊光線、守る
H … 16n-1
HB … DM時に珠ダメージ+意地っ張りメタグロスのダイアース(130)確定耐え
C … 極振り
初手のDMで一気に相手のゲームプランを崩す切り込み隊長。
技構成はDM前提であるためダイサンダーを高火力で打てて、DMが切れてもエレキフィールド+相手が地面にいるという条件はつくもののダイサンダーと同じ火力が出せるライジングボルトとDM時の素早さ操作になる破壊光線を採用している。
特性 :悪戯心
持ち物 :狙いの的
性格補正:S↑ A↓
努力値 :H188 B4 C52 D12 S252
実数値 :159-×-106-104-97-184
技構成 :マジカルシャイン、追い風、手助け、すり替え
H … 16n-1
C … マジカルシャイン(ダブルダメージ)で無振りウーラオスを最低乱数以外1発(93.8%)
S … 最速
レジエレキの制圧力を上げつつ、後続のサポートも行う。
努力値配分はカ・エールさんの記事「領域展開エルフビート」に載っているものを参考にした。
すり替えは狙いの的ダイサンダーでランドロスを突破する以外にも以下のような使い方もあるため相手視点では見えない勝ち筋に繋がることもある。
①飛行タイプにガブリアスの地面技、鋼タイプにウツロイドの毒技を通すことができる
②相手のウツロイドのパワフルハーブを奪うことで1ターンの隙を作る
③相手の火力強化アイテムを奪うことで味方の受けるダメージを抑える
④レジエレキから命の玉を回収することで攻撃時のダメージで倒れるのを防ぐ
悩みの種で相手の特性を上書きしてしまえばレジエレキの一貫性を更に作りやすくできる。しかし悩みの種を打ちたい主な対象のライチュウと対面した場合猫騙しをされてしまいがちなので打たせてもらえない、そして技スペースが足りないということから採用していない。
悪ウーラオス
特性 :不可視の拳
持ち物 :気合いの襷
性格補正:S↑ C↓
努力値 :A252 B4 S252
実数値 :175-182-121-×-80-163
技構成 :暗黒強打、インファイト、不意打ち、守る
S … 最速
汎用性の高いアタッカー。
守るや見切りの択を潰せる特性に加えて、確定急所が狙える専用技と先制技を持つため終盤の詰めに重宝する。
ミラーが多発するため最速。
特性 :ビーストブースト
持ち物 :パワフルハーブ
性格補正:S↑ A↓
努力値 :H4 C252 S252
実数値 :185-×-67-179-151-170
技構成 :ヘドロ爆弾、メテオビーム、身代わり、守る
レジエレキとウーラオスが苦手な相手や並びに強いため採用した。
先発で荒らした後に裏から出すことでビーストブーストが狙いやすい。
身代わりはトリックルームターンやDMターンを枯らすのに重宝した。
努力値配分についてサマヨールのナイトヘッドで身代わりが割れないようにHPの実数値を204まで上げて身代わりのHPを51にしていたが、手助け+メテオビームでH252振りDMブリザポスを確定で倒せないためCS極振りにした。
なおメテオビームを大事な場面でしっかりと外してくれるこの構築における戦犯。
特性 :鮫肌
持ち物 :突撃チョッキ
性格補正:A↑ C↓
努力値 :H252 A164 B4 D84 S4
実数値 :215-188-116-×-116-123
技構成 :地団駄、ワイドブレイカー、岩雪崩、アイアンヘッド
A … H252振りコータスをダイアース(威力130)で高乱数1発(87.5%)
主にバナコーポリ2、避雷針入りの雨パにはDMアタッカー、ブリザポスのいないトリックルーム軸にはトリックルームターンを枯らすために採用している。
努力値配分は968(アイスレジェンド)さんの「センリツコントロール・フィナーレ」に載っているものを参考にしている。
ダイスチルで隣のポケモン(主にブラッキー)の物理耐久力も上げられるのでアイアンヘッドを採用した。
耐久と火力に割いているため従来よりも遅いという問題点はレジエレキのエレキネットやエルフーンの追い風でカバーしていた。
特性 :精神力
持ち物 :オボンの実
性格補正:B↑ A↓
努力値 :H252 B252 D4
実数値 :202-×-178-80-151-85
技構成 :イカサマ、バークアウト、挑発、手助け
トリックルーム展開の阻止とトリックルームターンやDMターンを枯らすのが主な役割。
エルフーン同様に手助けでダイサンダーの火力を上げて倒すのはもちろんだが、挑発でトリックルームを封じる、猫騙しに邪魔されずに集中砲火して気合いの襷をケアするなどトリックルーム展開の防ぎ方のバリエーションが多い。
あくまでブラッキーは詰め筋ではないこと、そしてレジエレキのダイサンダーと相性が悪いことから月の光や欠伸は採用していない。
選出パターン及び立ち回り
基本選出
先発:
後発:
次の3パターンを盤面に応じて使い分ける。
①エルフーンの手助け+レジエレキのダイサンダー
②エルフーンの狙いの的すり替え+レジエレキのダイサンダー
③エルフーンの追い風+レジエレキのエレキネットで素早さを操作して後続に繋げる
※ランドロス+猫騙しでエルフーンが集中される場合
ウーラオスを囮にしつつ、ダイジェットの素早さ上昇をダイアタックで帳消し。
次のターンにすり替え+ダイサンダーをランドロス方向に打って倒す。
狙いの的コンボが必要なく、スイッチトリルの可能性がある場合
もしくは猫騙し+トリックルーム(気合いの襷持ち)の場合
先発:
後発:
主にポリゴン2やサマヨールがいて、ランドロスがいないスタン系の構築への選出。
ポリゴン2に挑発を入れてトリックルームを阻止しながらレジエレキで一気に削っていく。
また猫騙し+トリックルーム(気合いの襷持ち)に対してはダイサンダーとイカサマを集中砲火して止めにいく。
vsフシギバナ+コータス+ポリゴン2
先発:
後発:の中から2匹
(レジエレキの優先順位は比較的低い)
ガブリアスのダイアースとブラッキーのバークアウトで殴り合いに強くして相手のDMターンとキョダイベンタツのスリップダメージのターンを枯らし、後発を通していく。
エルフーンはレジエレキに交代してウツロイドはダイロックで気合いの襷を貫通しながらライチュウを倒す。
猫騙しでエルフーンの動きを止めながらダイジェットで倒して、次のターンに素早さの上がったライチュウが上からほっぺすりすりをしてくるのが非常にきついのでそれに対応する動きとなっている。
しかしライチュウが突撃チョッキを持っていたり、隣のDMアタッカーにボルトチェンジをして弱点保険を発動されると殴り負けてしまうなど相手の持ち物や動きに依存するため安定しない。
この指止まれor怒りの粉+トリックルーム
①トリル始動がブリムオン、ツンデツンデの場合
先発:
後発:の中から2匹
(レジエレキの優先順位は比較的低い)
トリックルーム始動がブリムオンならばブラッキーのバークアウトとガブリアスの岩雪崩で相手2匹にダメージを与えながら相手の火力を削ぎつつ怯みを狙う。
ツンデツンデの場合はガブリアスのワイドブレイカーでツンデツンデの火力を削いでいく。
②トリル始動がサマヨール、ポリゴン2の場合
先発:
後発:
ブラッキーのバークアウトでダメージを与えながら相手の火力を削ぎ、ウツロイドは身代わりを貼る。ウツロイドの守ると身代わり、ブラッキーのデバフでトリックルームターンを枯らしていく。
隣にトゲキッスがいる場合はトリックルーム始動のポケモンに対してメテオビームと挑発を集中する。たとえ相手がこの指止まれやサイドチェンジをしてもトゲキッスを倒しつつ挑発が通るためトリックルーム展開を封じることができる。
戦績
ランクバトル シリーズ14
60勝 22敗 勝率:68.18%
メイン:37勝 15敗 最高1862 最終1739
サブ :23勝 7敗 最高1706 最終1706
Global Challenge 2021 Winter
28勝 17敗 勝率:62.22%
最高1714 最終1642
※1ロムのみ参加(サブロム参加し忘れた)
おまけ
〈採用に至らなかったポケモン〉
・ゴリランダー
スイーパー性能が高い。
しかしレジエレキのダイサンダーで貼ったエレキフィールドを貼り替えて火力を下げてしまったり、逆にレジエレキのダイサンダーによってグラススライダーが先制で打てなくなったりとかみ合わなかった。
〈苦手な相手〉
・エルフーン
互いに追い風をするだけならば問題ない。しかし同速勝負に負けて挑発をされたりトリックルームを貼られるときつい。
・ガブリアス
地面タイプは狙いの的を渡してレジエレキのダイサンダーで倒すのだが、狙いの的を渡しても電気技が半減のガブリアスは突破がかなり厳しい。
特性が鮫肌で触れるとダメージを受けるため悪ウーラオスの気合いの襷が潰されてしまうのも厄介。
・レジギガス+マタドガス
レジエレキの火力は特性に依存しているため特性を封じてくるこの並びには基本選出が通じず、ガブリアスで抗うもののマタドガスがシュカの実を持っていることが多いため一撃で倒せずレジギガスを止めれない。
※グロチャレで3戦中全敗
〈使っていて気になった点〉
・エルフーンではなくヤミラミだった???
素早さ操作のしやすさという点からエルフーンを採用したが猫騙し+ランドロスのダイジェットに対してウーラオスを犠牲にして次のターンに狙いの的をすり替えて突破しないといけない。
それに比べてゴーストダイプのヤミラミは猫騙しをされることがなく初動から狙いの的ギミックを狙えるのでランドロスの突破を優先するならばヤミラミを採用するのはありかもしれない。
あとがき
ここまで記事をご覧いただきありがとうございました。
狙いの的を相手に押しつけて本来ダメージが効かない相手に不意の一撃を与えるという戦法は過去作でも考えたことはありましたがメガストーンやZクリスタルといった特殊アイテムにはすり替えやトリックが決まらないためあくまでネタ程度にしかなりませんでした。
しかし今作はそれらが存在しないためかなり実用的になったと感じました。
自分のプレイスタイルに合っていたこと、そして二つの奇襲を武器とした初見殺し要素のある構築なだけあって自身初の最終2桁も目前でした。
残念ながらその後にずるずると溶かしてしまい最終2桁にはなれなかったものの構築のコンセプト自体は好感触だったので全国大会や世界大会が現在のルールで行われるならばもう少し煮詰めていきたいところです。
(正直コロナが収束する気配がないので行われるのさ怪しい…)
質問等があればこの記事のコメント欄もしくはTwitter垢(@ankou_0818)まで気軽にお声かけください。